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関節窩の傾斜は腱板損傷に影響を与えるか?

腱板損傷は肩峰下インピンジメントと関係があり、このメカニズムでは上腕骨頭が上方に偏位することで棘上筋のような腱板が損傷に至ると理解されています。上腕骨頭の上方偏位はいくつかの要因によってもたらされると推察されておりますが、そのうちの1つに肩甲骨関節窩の傾斜が挙げられます。屍体肩を用いた先行研究によると、関節窩が上方に傾斜することで上腕骨頭の上方偏位を生じやすくなることが示唆されており、加えて、腱板損傷患者では関節窩の傾斜が増大していると報告されました。しかし、生体でもその関係が成り立つかは不明であったため、Bishopらは腱板損傷術後患者を対象とした研究を実施しました。

J Shoulder Elbow Surg. 2009 Mar-Apr;18(2):231-6.
Glenoid inclination: in vivo measures in rotator cuff tear patients and associations with superior glenohumeral joint translation.
Bishop JL, Kline SK, Aalderink KJ, Zauel R, Bey MJ.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19062313


結果として、腱板損傷側の関節窩傾斜角は健側のそれと比較して小さく、先行研究とは一致しませんでした。


加えて、関節窩の傾斜角と上腕骨頭偏位に相関も認められず、これまた先行研究に基づく仮説を裏切る結果となりました。


関節窩の傾斜は腱板損傷に影響を与えるか?


2009年以降、この分野における研究に進展があったかどうかは分かりませんが、これらの研究に基づけば、関節窩の傾斜が上腕骨頭の偏位や腱板損傷に影響するとは言えません。従って、関節窩の形状という解剖学的因子が腱板損傷のメカニズムに決定的な影響を与えるかどうかは不明です。保存療法、手術療法のどちらを選択するにしても、関節窩の傾斜よりも、もっと別の因子に着目したほうがよいのではないか、と感じてしまいます。
腱板損傷 2221039811190294929

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