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野球における肩障害と関節窩捻転の関係

野球選手は投球動作を繰り返すことで、肩関節周辺の骨・軟部組織に適応変化が生じると考えられています。上腕骨の骨形態に関する研究は多く実施されており、野球選手では非投球側と比較して投球側の上腕骨後捻が大きいと報告されました。一方、関節窩の形状に関する研究は非常に少なく、投球によって肩甲骨に適応変化が生じるか明らかになっていません。そこで、野球選手では投球側と非投球側に関節窩捻転角の差があるのかを明らかにするべく、現時点で入手できた3つの研究についてレビューしました。


3つの研究の特徴として、いずれの研究もプロ野球の投手が対象でした。関節窩後捻の評価にはCT画像(Crockett 2002)またはレントゲン透視(fluoroscopy)画像(Sweitzer 2012, Wyland 2012)が用いられました。


主要な知見


  • プロ野球投手では、非投球側と比較して投球側の関節窩後捻角が大きい(差は約3°)
  • SLAP修復術の既往のあるプロ野球投手では、関節窩後捻角に左右差がない可能性がある
  • 一般成人男性では関節窩後捻角に左右差がない可能性がある

考察


現在入手できた情報によると、プロ野球投手では、非投球側と比較して投球側の関節窩後捻角が大きく、その差は3°程度であると言えます。一般成人男性に後捻角左右差が認められず、プロ野球投手に左右差が認められたことから、関節窩後捻角の左右差は投球による適応変化である可能性があります。また、SLAP修復術の既往のある選手において後捻角に左右差が認められなかったことから、関節窩に適応変化を生じないことが、肩障害と関連する可能性が示唆されました。

ただし、これらの研究は縦断的な調査ではないため、投球側に認められた関節窩後捻角の増大がSLAP損傷の原因になるとは言えません。SLAP修復術群のサンプルサイズが小さいことも、障害との関連性を検討する上で限界として認める必要があります。また、CTやfluoroscopyのような2次元画像分析方法の誤差に対して、観察された左右差が約3°と小さいことも、結論を弱める原因になります。これらの問題点を解消したさらなる研究によって、野球選手における肩甲骨の適応変化と肩障害の関連性が明らかになるといいですね。

References


  1. Crockett HC, Gross LB, Wilk KE, et al. Osseous adaptation and range of motion at the glenohumeral joint in professional baseball pitchers. Am J Sports Med. 2002;30(1):20-26.
  2. Sweitzer BA, Thigpen CA, Shanley E, et al. A Comparison of Glenoid Morphology and Glenohumeral Range of Motion Between Professional Baseball Pitchers With and Without a History of SLAP Repair. Arthroscopy. 2012.
  3. Wyland DJ, Pill SG, Shanley E, et al. Bony adaptation of the proximal humerus and glenoid correlate within the throwing shoulder of professional baseball pitchers. Am J Sports Med. 2012;40(8):1858-1862.
野球 1749989507990087878

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